APV法(3)~アンレバード株主資本コスト
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APV法による企業価値算出式は、
企業価値 V = 100%株式で資金調達した場合の事業価値(Vu)
+ 有利子負債調達による税効果の価値(Vtxa)
でした。
また、企業価値は株式資本(E)と有利子負債(D)(EとDは時価)の合計ですので、
V = Vu + Vtxa = D + E ・・・(1)
ということになります。
MM理論以外にモジリアーニとミラーは以下の理論も発表しています。
●企業の事業用資産及び非事業用資産(事業に使用していない金融資産含む)
の資産リスク
=その資産を投下するために調達した資金提供者にとってのリスク
●上記の均衡状態では、
ku ;事業用資産に投下した資本コスト(アンレバード株主資本コスト)
ktxa ;金融資産に投下した資本コスト
ke ;株主資本コスト
kd ;有利子負債コスト
(1)、(2)式を使用して、資本コストを求めていくことができます。考え方については次回にご説明したいと思います。
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DCF法で算出する企業価値とAPV法で算出する企業価値は、時価の有利子負債・株主資本比率で測定したレバレッジが一定の場合等しくなります。
そのことを数学的に証明したいと思います。
ここでは、証明を簡素化するために、有利子負債と株主資本については、キャッシュフローは一定、つまり成長率はゼロという前提とします。(時価の有利子負債・株主資本比率で測定したレバレッジが一定から)
Dを有利子負債の時価価額、Eを株主資本の時価価格とすれば、V(企業価値)は次にように表すことが出来ます。
V=D+E
この式を変形させ、DCF法での算出結果とAPV法での算出結果が等しいことを証明します。
【DCF法】
まずDCF法での算出結果を導くことにします。
V=D+E
の左辺に
(=1)
CFd : (有利子負債の)債権者に帰属するキャッシュフロー
CFe : 株主に帰属するキャッシュフロー
t : 税率
をかけると
・・・(1)
kd を有利子負債コストとすると、CFdは一定であるとする前提条件から
成長率はゼロとして
CFd = D / kd
で表すことができ、
kd = CFd ・D ・・・(2)
となります。
同様にke を株主資本コストとすると、CFe は、
CFe = E / ke
となり、
ke = CFe ・E ・・・(3)
となるので、(1)式に(2)式、(3)式を代入すると、
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APV法(Adjusted Present Value Method)は、企業価値算出法のひとつで
MM理論に基づく企業価値の算出法です。
MM理論は、完全な競争市場のもとで、
企業がどのように資本調達しようと、企業価値に影響を与えない
というものでした。
つまり、
企業の資本構成が変化しても企業価値は変化しない
というものです。
そこで、完全な競争市場というのはどういう状態の市場かといいますと、
次の3つの条件が成り立つ市場のことです。
市場のすべての参加者が同じ情報をコストなしに得ることができる
取引のためのコストや取引制限、税金がない
商品の流動性が高い
しかし、実際は証券を売買するためのコストや税金はほとんどの市場で発生
するものです。
また、企業は有利子負債を増やせば信用リスクが高まり調達コストが高くなったり、
債務不履行となる場合もあります。その際、訴訟などのコストもかかったり、
そのために顧客や取引先を失うなどの間接的なコストもかかるでしょう。
そのような税金や債務不履行等が存在する不完全な市場では、
上記のようなコストが企業価値に影響を与える
ということになるということになりますので、APV法の算出式は
APV = 100%株式で資金調達した場合の事業価値
+ 有利子負債調達による税効果の価値
となります。
<次回に続く>
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完全競争市場で、全く同じ事業を行うA社とB社があるとします。
A社 B社
EBITDA X X
自己資本 SA SB
負債 0 DB(利率r)
配当 DIVA DIVB
(利益をすべて配当に回すこととする)
B社の株式をaの比率で保有する投資家Cがいるとします。
投資家CがB社から得られる配当は以下の通りとなります。
投資家CのB社からの配当 DIVCB=a(X-rDB)
その投資家はB社の株式 aSB を売却する
(aSBに相当する金額を取得)と同時に
aDB を借入れて(aDBに相当する金額を調達)、
a(SB + DB)に相当する金額のA社の株式を
a(SB + DB)/SA の比率だけ購入することが出来ます。
その場合、投資家CがA社から得られる正味の配当は、
A社からの配当から借入金の利息を差し引いた額となり、
以下の通りとなります。
投資家CのA社からの正味配当 DIVCA
={a(SB + DB)/SA}X-arDB・・・①
A社の企業価値は
VA =SA
B社の企業価値は、
VB =SB + DB
で表すことが出来ることから、①式は以下の通りとなります。
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MM理論とは、フランコ・モジリアニとマートン・ミラーの2人の経済学者が提唱し,ノーベル賞を受賞した理論で、完全競争的な資本市場が成立している場合(法人税を無視すれば)、
(1)企業がどのように資本調達しようと、企業価値に影響を与えない
(2)企業がどのように利益配分をしても、企業価値に影響を与えない
という2つの理論からなります。
(1)の理論は、株で資金を調達しようが、借入金で資金を調達しようが、企業価値に影響を与えない、ということで、(2)は、利益を配当しようが内部留保しようが企業価値には影響を与えない、ということになります。
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今回は実際の企業の企業価値をマルチプル法を用いて算出してみます。
対象会社は、サントリーとしてみました。
サントリーは、ビール、ウィスキーをはじめとするお酒関連及びお茶やジュースなどの飲料などを製造・販売する会社です。
この会社は、非上場会社なのですが、ホームページには決算情報が開示され、財務情報が取得しやすいことから、この会社を選んでみました。
【手順1:類似企業(上場会社)の選定】
サントリーの直近の決算期(2007年12月期)の連結売上高は約1.5兆円です。
または、サントリーの事業はビールなどの”酒類”、飲料、加工食品などの”食品”、そしてそれ以外の”その他”の大きく3つの事業に分かれており、事業規模(全体の売上高に対する割合)はそれぞれ、54%、37%、9%(2007年12月期)となっております。
以上のことから、上場会社でビール等の酒類をはじめとする飲料会社で、サントリーと同規模の会社となると、必然的に絞られて来ると思います。
ということで2社を類似会社として選定しました。
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マルチプル法による企業価値算出の手順について、説明いたします。
手順1:類似企業(上場会社)の選定
手順2:類似会社の直近決算期の財務情報を取得
手順3:手順2からマルチプルデータを取得(EBITDA倍率、PBR、PSRなど)
手順4:マルチプル(倍率)を対象会社のデータに適用
手順5:マルチプル法による企業価値を算出
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